2010年 05月 20日 ( 1 )

노벨서점

何の変哲もない裏通りに、カモフラージュするかのようにひっそりと、この古本屋は佇んでいる。実は、3年ほど前に電気科の김태현先生に案内されて行ったことがある。昼の12時ごろだった。しかし、店はシャッターが下りていた。それで、廃業したのかと思っていた。

c0019613_1125753.jpgしかし、今日(2010年5月18日、火曜日)同僚の小島先生がこの店の存在を教えてくれた。その前の週に、この「韓国古書店・書店見聞録」をコピーしたものをお貸ししたのだけれど、それを返しに来たとき、自分の古本屋見聞記をプリントアウトしたものが添えてあった。それがこの노벨서점だった。どこかで見たような名前だと思ったけれど、それ以上に、そこに書かれていた岩波書店の『アラビア語入門』のことが気になった。何よりも、カセットテープ付きで、10,000원で売っているという。出版年を確認していないと書いてあったけれど、先生の撮った写真を見て、それが80年代前半のものだと感じた。だったら、けっこう高級な学習書だ。授業が終わってから急いで小島先生に電話し、その古本屋がどこにあるのか、正確な場所を尋ねた。そして、中国語科の陈华先生と一緒に行ってみた。

店の間口は狭く、奥行きもそれほどないけれど、店内は本で埋められていた。小島先生の見聞記に「まもなく店のすべてが本で埋め尽くされてしまうのではないかという印象だった」と書かれていたけれど、壁に面した書棚だけでなく、中央にうずたかく積まれた本の塚が陣取っていて、右側の通路は狭くて人が通れなかった。そして、その奥に主人がいた。

目が合ったので挨拶をすると、怪訝そうな顔で曖昧な挨拶を返した。しかし、同僚の先生から教えてもらって来ましたと言い、『アラビア語入門』はまだありますか、と尋ねると、ああと言って、右の方の棚から出してきた。そして、主人との会話が始まった。

私は仕事柄、外国語の教材に関心がある。それを言うと、『アラビア語入門』の隣にあった白水社の『入門ロシア語』も持ってきた。どちらもテープつきの教材だ。どちらも30年前の本で、定価は、テープ2本付きの『アラビア語入門』が6,000円、テープ1本付きの『入門ロシア語』は3,000円だ。現在も外国語教材の値段は似たようなものだから、物価との兼ね合いを考えると、ずいぶん安くなったといえる。値段を尋ねると、『アラビア語入門』は10,000원で、『入門ロシア語』は3,000원という。この2点を買った。これらの本の内容は、次の通り。

 『アラビア語入門〔カセットテープ付〕』(池田修著、岩波書店、1976。1982年第3版)
 『白水社カセットブックス 入門ロシア語』(灰谷慶三著、白水社、1971。1979年第3刷)

他にも、韓国で出たいろいろな外国語教材を見せてくれた。それらは買わなかったけれど、その中には今まで見たことのない「韓・エス辞典」もあった。

主人は陈华先生に『全唐詩』という大部の縮小影印本を勧めた。でも、値段が150,000원と聞いて、陈华先生は手を引っ込めた。

カウンター脇の、左側の本棚に、中国の本が数冊あった。以前、朝鮮族の女性が売っていったものだそうだ。その女性はかなりお金持ちのようだったという。今も残っている中には『紅楼夢』の原文もあった。しかし、こともあろうに、それは下巻だけだった。上巻はどうしたのかと尋ねると、数年前に老紳士が買って行ったのだそうだ。上巻を読み終わったら下巻を買いに来ると約束したという。なんてこった。陈华先生は呆れて、売るなら上下まとめて売らなきゃ駄目じゃないですか、と残念がった。その老紳士は、それ以来この店に姿を現さないそうだ。お年を召して他界されたか。

陈华先生は、30年ぐらい前に刷られた、中国の古文を読むための辞書を買った。2,000원だった。先生の話では、この本は現在も出ていて、韓国のお金に換算すると大体5,000원ぐらいで売られているとのことだった。

そのあと、主人としばらく雑談をした。主人は30年ほど前に近所で古本屋を始めたという。その後、10年ほど前にこの場所に越してきたそうだ。以前はインターネットなどでずいぶん紹介されたけれど、辺鄙な場所にあるため、客はあまり来ないという。

主人が、한겨레신문に紹介されたというので、ひょっとして임종업記者ですかと尋ねると、そうだという。「헌책방 순례」で紹介されたそうだ。あの人は本をどっさり買って行きましたよ、と懐かしそうに言った。

この店は、古本屋などありそうもない裏通りを歩いていると、忽然と現れるため、ちょっとした驚きを感じさせる。けれども、主人の話によると、このあたりは以前古本屋がたくさんあったそうだ。“古本屋街(헌책방 거리)”とまで言っていた。ちょっと信じられない話だ。

でも、古本屋は現在では斜陽産業だ。ひとつ、またひとつと、店をたたんで行っているのが現状だ。時々、 古本屋だったら町内ごとにありますよ(헌책방은 동네마다 있어요)、とご親切にも指南してくれる人がいるけれど、それは20年前の情報で、現在は、かなり足を伸ばさなければ古本屋に辿り着けないことが多い。

主人の話では、中国もそうらしいという。そうでしょ、と陈华先生に確認した。けれど、陈华先生 は中国の古本や事情まではご存じないようだった。主人は私に、日本は違うと言い、どうだと尋ねた。私も、日本の古本屋事情には明るくない。私の郷里である川越では、物心付いた頃から、古本屋が現れては消えている。90年代には「ブックシティー川越」があり、2000年代半ばには、「本だらけ」があった。それらは、古い本や珍しい本も取り揃えていて、私の好きな古本屋だったけれど、現在は無くなってしまった。代わりにブックオフが入ってきた。全体として減少の傾向にあるような気がするけれど、どうなのだろうか。

主人は、日本のブックオフが韓国に進出したことで、古本産業の可能性を感じているようだった。けれども、ブックオフのやり方は古本屋の一つの形態に過ぎないと思う。なぜなら、ブックオフは新しい中古書籍しか扱わないからだ。主人は、ブックオフでは在庫図書を扱っているのかと聞いたけれど、在庫図書ではない。そんな売れ残りばかり扱っていたら、読者はあまり喜ばないだろう。きれいな中古書籍を扱っているのだと答えると、ほう、そうか、と意外そうな顔をした。ブックオフでは、それを「新古書」という奇妙な名前で呼んでいる。それは一つのスタンスとしては悪くない。けれども、そういう古本屋が蔓延ってきたのが、私には不満だ。

帰り際に、何時から何時までやっているんですか、と尋ねると、夜は大体9時ごろまでやっていると言った。ただ、午前中は本を仕入れに行くために、店を開けるのは午後からになるという。だから昼頃行ったら閉まっていたわけだ。ちなみに、日曜日は休みとのこと。

帰宅後調べてみると、2005年8月25日に発表された임종업記者の「헌책방 순례」(http://www.hani.co.kr/kisa/section-paperspcl/book/2005/08/000000000200508251653374.html)に、노벨서점が紹介されていた。そこでも「사방벽과 가운데 쌓인 것을 흐뜨리면 책방공간의 반은 고일 터이다」と書いていて、小島先生の「まもなく店のすべてが本で埋め尽くされてしまうのではないかという印象」と大体同じだ。5年前も今も、ずっと同じ状態でいるわけだ。もっとも、店の状態というのは店主の個性によって作り出されるものだから、何年経っても変わらないのが当たり前かもしれない。たとえば、책방진호が売り場の中央をいつでもがらんどうにしているように。

また、主人は読書家だという。임종업記者は、上の記事で「“책과 가까이 있다는 게 행복합니다. 하루종일 책을 읽을 수 있다는 게 얼마나 좋은지 몰라요.” 도서관에서 빌려온 ‘새책’이 헌책 사이에 끼어 4권이나 됐다. 책방의 책은 독자용이라 건드리지 않는 것일까, 서재의 책은 주인용이라 이미 다 읽은 것일까. 그는 이곳을 책방 겸 서재라고 했고 손님을 독자라고 불렀다」と述べている。図書館から本を借りてきて読む古本屋がいるなんて、考えたこともなかった。

노벨서점の住所は、서울시 은평구 응암4동 283-13。ただ、この番地ではGoogleで出てこない。正確な番地は응암동 749-60ではないかと思うのだけれど、はっきりしたことは分からない。電話番号は02-308-2701。携帯は017-780-2703。主人の名前は김창렬。名刺には漢字で「金昌烈」と刷られている。

ちなみに、この店の左側2件目には、만복래반접(서울시 은평구 응암동 749-58, ☎02-307-2772)という中華料理屋がある。この店は安くて美味しいのが特徴だ。なんと、짜장면がたったの2,000원。麺がしっかりしていて美味しい。
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by ijustat | 2010-05-20 02:16 | Bookshops