購入図書

キョボ文庫へ行き、本を買ってきた。『ひきこもれ』(吉本隆明著、だいわ文庫)、『ぼくの人生案内』(田村隆一著、知恵の森文庫)、『キケロー書簡集』(高橋宏幸編、岩波文庫)の3冊だ。

c0019613_18225473.jpg『ひきこもれ』は、いま冬休みで、「ひきこもり」にかなり近い生活を送っている自分の励みになりそうなので、買った。実際に読んでみると、ひきこもり的生活の必要性を力説してくれているのが心強い。以下の部分が、本書の結論ではないかと思う。

ひきこもって、何かを考えて、そこで得たものというのは、「価値」という概念にぴたりと当てはまります。価値というものは、そこでしか増殖しません。(p.40)

「この人が言っていることは奥が深いな」とか、「黙っているけれど存在感があるな」とか、そういう感じを与える人の中では、「意味」だけではなく「価値」の増殖が起こっているのです。それは、一人でじっと自分と対話したことから生まれているはずです。(p.40-42)

価値を生み出すためには、絶対にひきこもらなくてはならないし、ひきこもる時間が多い人は、より多くの価値を増殖させていると言えます。(p.42)
それから、まるで私の性癖を代弁してくれているような箇所もあった。こういう箇所に出会うと、本当にうれしく思う。

お祭りというのは、賑やかな場所に身を置くことができて、しかしあまり顔見知りとは会わなくて済む。そういった、大勢の中で一人ぼっちになれる状態が、ぼくには一番安定感があったのです。だから当時は、近所にある神社という神社のお祭りには忘れずに行っていた。金魚すくいか何かをして、好き勝手にぶらぶら歩いて、誰とも口を利かずに帰ってくるのです。……いまでもぼくは、大勢の中の孤独を好むところがあります。賑やかな中で一人ぽつんとしている状態が一番、精神的に落ち着くのです。(p.136-137)
c0019613_18275644.jpg『ぼくの人生案内』は、詩人田村隆一の本として、最初はちょっと目を引いただけだったが、この人が98年に亡くなったことを知り、仕事柄学生の人生相談も必要かと考えて、その資料のために買っておくことにした。

家に帰ってきてからパラパラとめくってみたけれど、かなり人生の本質に深く切り込んだアドバイスがなされていて、大した人だと感心した。自分にこんな人生案内ができるだろうか。

でもまあ、人によって人生を切り抜ける処方箋の出し方は違うのだから、この本を読んで怖気づいても意味ないことだろう。とにかく、面白い本多ということだけはたしかだ。

c0019613_18323161.jpg『キケロー書簡集』は、表紙の宣伝文句に「激動の時代に重要な役割を担った人物の証言として、計り知れない歴史的価値を持つ」と書いてあるのにつられて買ってしまった。

最初は、読んでいて何が何のことだか分からなかった。だいたい、私はキケローが何者で、その手紙の相手が誰なのか、という背景知識もないまま、ページをめくっていたのだ。注釈を見ても、断片的なので、手紙を書いた状況が見えてこない。それで、わけの分からないまま、ただ人の手紙を盗み読む楽しさだけで、何通かを読んでみた。しかし、これでは得るものも少ないと思い、巻末の解説に目を通した。

この本を読もうとする人に忠告しておきたい。私のように、古代ローマに関する知識の乏しい人は、まず巻末の解説に目を通し、キケローとその時代についての概観を得てから、本編の書簡文を読むべきである。そうすれば、手紙の内容の重さがわかってくる。

手紙を読む限りでは、キケローは頭脳明晰で、人の心を動かす言葉に巧みな人だったようだ。それだけでなく、とても勉強好きだったことが伺える。友人であるアッティクスへの手紙の中に、こんな言葉があるのには、かなり心を刺激された。

また、君の集めた書物は誰にも渡さないように。約束してくれたとおり、私のためにとっておいてほしい。私はそれらの書物にすっかり夢中だ。(p.17)
この、「私はそれらの書物にすっかり夢中だ」という言葉に、私まで夢中になってしまった。(笑)
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by ijustat | 2007-01-06 18:20 | Life


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