先日、ずいぶん前にインターネットで音楽ファイルと一緒に見つけた“Δωμάτιο”という曲の歌詞を、『現代ギリシア語辞典』を引きながら読んだ。
実はこの歌詞は、希英辞典を引きながら読んだとき、途中で難しすぎてわけがわからなくなり、4分の1まで読んだところで投げ出してしまっていた。それで長らく苦手意識を持っていたのだけれど、今回辞書の助けを借りながら、最後までいちおう理解しながら読むことができた。その間自分のギリシア語の実力が向上したとは思えない。辞書の威力の大きさをあらためて実感させられた。 日本で唯一という辞書を買うとき、その収録語彙が自分の読むテキストをどのくらいカバーできるのかが不安になるものだ。また、見出し語はあっても、自分が読むテキストに出てくる語の意味をどれだけカバーできる語釈または訳語が載っているかも気になる。自分の学習はその辞書に左右されるからだ。 その点に関し、『現代ギリシア語辞典』は驚くほど出てくる単語の意味を言い当てていた。しかも、訳語をむやみに羅列することもないので、単語の意味もすっきりと頭に入ってくる。この点は、もしかしたら“Oxford Greek English Learner's Dictionary”よりも優れた特徴ではないかと思った。まあ、私は英語が得意ではないから、何ともいえないけれども、こうやって無作為に選んだテキストの語彙をここまで的確に予測していて、意味もその中でまかなえるということは、この辞書の著者が本当にギリシア語に堪能であることを裏付けている。 なお、“Δωμάτιο”は、歌詞の内容が象徴的で、結局はよく理解できなかった。“...και καλοκαίρια γαλανά, θάνατοι και φωτιές, και αόρατη ομορφιά.(そして青い夏、死と炎、目に見えない美)”なんて続くと、各語の意味はわかっても、そのメッセージにまで入っていくのは難しい。ただ、理解はできないのだけれど、その言葉は美しい。ある映画で、誰かが「詩とは感じるもんたい」と言っていた。理解しようとしないで、感じようとすべきなのかもしれない。
by ijustat
| 2005-07-13 20:02
| Greek
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