고서점

2010年2月23日、火曜日。家族で부산へ行った。行く前から、부산へ行ったら보수동の책방골목へ行き、고서점(古書店)を見ようと計画していた。

c0019613_14161587.jpg“고서점”だなんて、店名とは思えないほど平凡な名前だ。平凡なだけでなく、インターネットで“고서점”と入力してこの店を見つけようとは思わないだろう。けれども、グーグルではこの店が真っ先に出てくる(2010年2月25日現在)。しかも、その徹底的に平凡な名前が、かえって印象深い。

この店の存在は、去年『모든 책은 헌책이다』(최종규著、그물코、2004) で読んで知った。その後、今年に入ってインターネットで偶然この店から買い物をしている。

そのいきさつは、こうだ。ある日、『한글갈』をインターネットで検索していたら、고서점のサイトが出てきた。値段は70,000원と、他のサイトと比較して悪くない。ただ、どうしたわけか、写真が이희승の『벙어리 냉가슴』の表紙だった。それで電話をかけて、これは本当に『한글갈』ですかと尋ねると、そうですというので、その場で(2010年2月6日16時01分に)カード決済した。

品物は、3日後の2月9日に受け取った。本の状態は良好で、同じ年に同じ出版社から出た『우리말본』よりも良質の紙を使っている。そのとき購入したのは、次の本だ。

 『한글갈』(崔鉉培著、正音社、1946)

この本の購入を通じていい印象を持っていたので、부산へ行ったら、ぜひこの店に行きたいと思っていたのだった。

책방골목の入り口でタクシーを降りるとすぐに、次男は단골서점(051-256-1916)で메이플스토리という漫画本を見つけ、買ってと言った。見ると、ビニールのカバーが掛かっている。新品だ。定価は8,500원。しかし、主人のおばさんに、これくださいと言って差し出すと、6,500원ですという。ちょっと無愛想な主人だけれど、本は安い。それから妻と子どもは찜질방へ行き、私は고서점へ直行した。

고서점は入り口を入ってアーケードを抜け、それから右へ折れ曲がってすぐに、左側にある。アンティークな雰囲気の煉瓦造りの建物だ。建物の中には本がぎっしりと詰まっている。その中の、いちばん右の入り口のほうに、古書が集中しているのが見え、さらに、主人が机の前で作業しているのが見えた。

中を覗きこむと、主人が私に気づき、ご用ですかと尋ねた。30代ぐらいの若い男性だ。本を見に来たんですけど、と答えると、どんな本をお探しですかというので、主に韓国語学の本を探していますと答えた。そして、先日『한글갈』を購入した者ですと自己紹介した。すると主人は、表情が明るくなり、ああ、あのときのと言って喜んでくれた。

そして、韓国語学関係の本はこの棚に集まっていますというので、見ると、いちばん上には茶色い表紙の『우리말본』があった。それから主人は、김두봉の『깁더 조선말본』を私に見せた。サイズはB6版ぐらいで、厚さは約1センチ。真っ黒な表紙に金箔で書名が押してある。湿気を含んで傷んだ部分がある以外は、ほぼ完璧な保存状態だ。奥付の地名は「京城」とある。私は、『깁더 조선말본』は上海で刷ったものとばかり思っていたけれど、後には「京城」でも刷られたらしい。

そのときふと、現在博士課程に通っていて論文準備をしている日本人の知り合いのことを思い出し、電話をしてみた。もし持っていなかったら買って行ってあげようと思ったからだ(もちろん代金は立替だ)。そこで電話をして聞いてみると、持っているという。이극로の音声学書もあったので、聞いてみると、それも実物を持っているという。彼はけっこう蔵書家なのだった。

『깁더 조선말본』は以前、北朝鮮に渡った学者ということで、それを所持しているだけで危険視されていたそうだ。その後、そのような制約は解かれたけれど、それでも10年ぐらい前までは今より稀少で、80万ウォンぐらいで取引されていたという。それに比べたら、現在はかなり安くなっているとのことだった。

古本屋へ行くといつも尋ねる『통문관 책방비화』と『옛책 그 언저리에서』と『윤동주 자필 시고전집』を尋ねた。やはりなかったけれど、驚いたことは、『통문관 책방비화』はつい最近(엊그제)売れたとのことだった。それまでずっと、インターネットでも出していたという。くまなく探していたはずだったのに、気づかなかったというのは、何らかの検索上の盲点があったようだ。残念なことだ。

しかし、そういう分野に関心があるのならといって、모리스 쿠-랑(Maurice Courant)の『朝鮮文化史序説』を見せてくれた。“Bibliographie Coréenne”韓国書誌学を訳したものだ。この本は70年代にも翻訳されたそうだけれど、これが最初に訳されたものだという。序文を読んでみると、内容も面白そうだ。それで、買うことに決めた。今日買ったのは、次の2冊。

 『깁더 조선말본』(김두봉著、匯東書舘、1934。初版本。320,000원)
 『朝鮮文化史序説』(모리스・쿠-랑著/金壽卿訳、凡章閣、1946。初版本。70,000원)

ちなみに、『깁더 조선말본』が初版本というのは、匯東書舘で刷られた初版本ということで、もとは1922年に上海で刷られたものだ。韓国文法大系の解題には、こう書かれている。

版權에 1934(昭和 9)년 2월 京城, 匯東書舘 發行으로 되어 있는 책이 있으나, 머리말에 「말본」을 박은지 여듧 해만에야 이 책을 다시 박게 되었다 하고, 1923(大正 12)년 5월 權悳奎 「朝鮮語文經緯」 187-190 면에는 이 책이 인용되어 있다. 그러면, 이 版權은 뒤에 국내에서 만들어 붙인 것에 틀림 없으며, 위의 引用事實을 감안하여 1922년에 上海에서 발행했다는 견해가 옳다고 믿어진다.
主人が、もしよかったらといって、兪吉濬の『大韓文典』(同文舘、1909)の影印本をコピー・製本したものを下さった。これは、韓国文法大系に収録されているものをコピーしたもので、その解題も一緒にコピーされている。持っていなかったので、ありがたくいただいた。

『大韓文典』の奥付が「隆起3年」となっていたので、この年号を西暦で調べるために、自作の年号対照表を取り出した。そして主人に、こんなものを作ったんですと言って見せた。そして、檀期は本を調べるとき重要な年号なのに何度覚えても忘れてしまう、と言ったら、自分は檀期4282年が西暦1949年だということだけ覚えていると言った。語呂がいいので覚えやすいのだそうだ。なるほど、사이팔이(4282)というのは発音しやすい。そしてその年は、朝鮮戦争の始まった重要な年だ。私も、“サイパリ・サーグ”と覚えることにした。

書誌学と関連して、최종규氏の話になった。고서점の主人は彼と仲がよいらしく、この店で최종규氏の写真展示会も行ったことがあるそうだ。최종규氏は古本屋ブームの火付け役になっているということで、고서점の主人は彼にとても感謝していた。

それから、ネット古書店の話題に移った。年配の人たちがやっている古本屋の中には、インターネットの波に乗れずに淘汰されていく店も多いけれど、その一方で、ネット古書店の出現によって、かえってオフラインの古本屋が増え始めているのだという。

インターネットができない古本屋が淘汰されていくというのは、誰の説明を待つまでもなく、古本屋を巡っていると自然に分かってくるけれど、オンライン古書店がオフライン古書店を増やすというのは、意外な話だった。どういう仕組みでそうなるのだろうか。ネットでも売るけれど、その倉庫を売り場としても開放するということなのだろうか。いずれにしても、インターネット書店の発達が古本屋に肯定的な影響を与えているのは、歓迎すべきことだ。

私が古本屋に関心を持ち始めた経緯を話した。それから、ついに古本屋が夢にまで出てきたということを話した。その夢は、あまりにも高い値段を吹っかける古本屋に対して腹が立って抗議するというものだった。そして、そんな夢を見た原因は、古本サイトで失った漫画本を買い戻したとき、高かったのがわだかまりとして残っていたのではないか、という話をした。そのとき買ったのは、30,000원で買った『신인 婦夫』(김수정)と、20,000원で買った이현세の『공포의 외인구단』第10巻だ。

主人の話では、現在漫画はインターネットの古本屋が登場してからバブルになっているということだった。漫画本が1冊2万ウォンや3万ウォンもするのは、需要と供給の関係から見ると、ちょっと異常だという。だから、しばらくしたらまた値段が下がっていくのではないだろうかということだった。

実は、私は古本漫画の価格上昇について、実は少し肯定的に考えている。日本でもそうだけれど、韓国でも漫画本は冷遇されてきた。それで、どんなにすばらしい作品でも、子供が読むものだということで、親たちは気楽に漫画本を捨てていた。そのために、初めはたくさん出回っていた漫画本も、気が付いたときには僅少になってしまっている。自分の家の本棚にあるボロボロの漫画本が、たとえば100万ウォンだと知ったとしたら、子供がそれを手に取って読んでいたら、もっと丁寧に扱いなさい、と注意するようになるかもしれない。そうなれば、漫画本を粗末に扱う習慣が正されるかもしれない。そんな話をすると、主人もなるほどと言って笑った。

『신인 婦夫』は手に入れにくくなってしまったけれど、あの漫画は非常に文学的ですばらしい作品だというと、主人もそれを認めていた。そして、김수정の作品としては『일곱 개의 숟가락』という作品が最高だといった。それは、彼の作品の中で最高であるばかりか、韓国漫画の中で最高の作品だという。ところが残念なことに、現在は幻の本になってしまっているのだそうだ。

主人の父親が経営する東邦美術會館の2階にある書庫へ案内された。こういうことは、頼んでも実現することではないので、光栄なことだ。店を出るとき、外から양주동の『고가연구』が目に入った。『고가연구』に関心がおありですか、と聞かれたので、はいと答えた。

広い空間に、古書や骨董品が並んでいた。書庫にあった『現代韓國 國學文獻 資料展』(東邦美術會館、1995)というパンフレットを下さった。父が作ったものですという。

書庫を出てから、主人の父親と会って挨拶をした。そして、今しがたいただいたパンフレットにサインを求めると、快く応じてくださった。「東邦美術会舘 梁浩錫」と書いてあった。そのあと、自分は骨董品と古美術と、そして古書を扱ってきたが、もしきみが古書に関心があるのなら、それらを見る目が無ければならないといい、きみも今からでいいから、ちゃんと勉強しなさいと言われた。

それから梁浩錫翁は私の顔を見ると、君は体が弱いから運動をしなさいと言った。自分はもう70を越したが、大学教授の友人たちはみんな死んでしまった。そのわけは、自分は今でも1日10時間歩き続けることができるが、彼らは運動をしなかった。だから、きみも1日1時間でもいいから、毎日歩きなさい、ということだった。梁浩錫翁の生年をインターネットで調べると、1935年と出て来る。今年75歳だ。

そして、東邦美術會館で出した韓国語学関係の資料の目録や、美術品の写真集などを下さった。いただいたのは、次の4冊。

 『東邦美術會舘開舘紀年展』(東邦美術會舘、1980年5月)
 『東邦美術會舘開舘記念企劃展』(東邦美術会館、1980年6月)
 『東邦美術會舘開舘記念 韓国現代作家招待展』(東邦美術會舘、1980年8月)
 『韓國古美術展』(韓国古美術協會釜山支會、1991年11月)

かなり年代物の本なので、貴重なものではありませんかというと、たくさんあるからいいのだと言う。それでも、『韓國古美術展』をあげたことは息子に言わないでほしいと釘を刺された。この本は、パンフレットではなく本格的な図録で、磁器や書画、木器などの写真が収録されている。

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翌日(2010年2月24日)、また고서점を訪問した。妻と子供が映画を見ている間の古本屋めぐりだ。けれど、今回の부산旅行は、時間も少ないし、初めてでもあるので、보수동 책방골목の本屋をあれこれ巡るよりは、1ヵ所に集中した方がいいと思った。それで、他にも気になる本屋はあったけれど、深入りはせず、ただ探している本があるかどうかを聞くだけに済ませた。まず、近くのコンビニで買ったペットボトルのジュースを、手土産に持って行った。

私が行くと、昨日目に留まった양주동の『古歌研究』を見せてくれた。そして、この『古歌研究』には続編があるのを知ってますかと言った。いいえ、と答えると、『麗謠箋注』という本を出してきた。

『古歌研究』は、1954年版が40,000원で、1960年版が15,000원だという。見ると、1954年版は紙がだいぶ弱っていて、しかも上の方が裂けて一部失われているページがあった。一方、1960年版は、いい紙を用いていて、印刷状況も良好だった。それで、1960年版を買うことにした。

『麗謠箋注』は、1957年度版が20,000원で、1947年版が40,000원だという。1957年度版は紙の状態は良好だけれど、版型がだいぶ傷んでいて、文字が潰れているところもあった。一方、1947年版は、紙はだいぶ色あせているけれど、印刷状態は良好だ。そのうえ、背表紙の文字が堂々としていて気持ちいい。誰が書いたものか尋ねると、主人の父親、つまり양호석翁が書いたものだという。この背文字は、私が고서점を訪れた記念になると思い、こちらを買うことにした。

そのあと、『한글갈』の販売ページに間違って載っていた、이희승の『벙어리 냉가슴』も見せてもらった。이희승は、大変な古書収集家だったという。その人の随筆集なら、古書収集にまつわる逸話なども載っているかもしれないと思ったのだ。それと関連して、主人は『李熙昇隨筆集 소경의 잠꼬대』も見せてくれた。どちらも10,000원だというので、買うことにした。選んだのは以下の通り。

 『古歌研究』(梁柱東著、博文書舘、1960)
 『麗謠箋注』(梁柱東著、乙酉文化社、1947。初版本)
 『李熙昇隨筆集 벙어리 냉가슴』(李熙昇著、一潮閣、1956。1958年再版。奥付喪失)
 『李熙昇隨筆集 소경의 잠꼬대』(李熙昇著、一潮閣、1962。1974年3版)

『古歌研究』は、『국어국문학사전』によると、1942年に『朝鮮古歌研究』の名で出版されたそうだ。どこから出版されたのかは分からない。私が分かったのは、1954年版も博文書舘から出ているということまでだ。『麗謠箋注』は、インターネットの百科事典などを見ると、あるものは1946年と出ていて 、あるものは1941年と出ている 。しかし、1947年と記されたものが多く、『국어국문학사전』にも1947年と書かれているので、1947年が初版というのが正しいようだ。『벙어리 냉가슴』は、最後の数ページが失われていて、当然奥付も失われている。前書きを見ると、1958年に再版したもののようだけれど、これはいつ刷ったものなのか不明。『소경의 잠꼬대』は、版権情報がしっかりしている。

合計75,000원だったのだけれど、カード決済を済ませて本を梱包するとき、主人が手を滑らせ、本が床にドサドサと落ちてしまった。他の本は無事だったけれど、いちばん下にあった『벙어리 냉가슴』の後ろの数ページが取れてしまった。私は家に帰ってから修繕するので構わないと言ったけれど、主人は申し訳ないからこれは無料にするといって、1万ウォンを返してくれた。かえって申し訳なかった。しかし、私も仕事をするときに、고서점の主人のような態度を持てるようになりたいとも思った。

主人は古書の棚を整理していた。その棚に積んである本を手に取って見ながら、自分が古書を見る目がないことを、つくづく感じた。これは古い本だと思ったものが、日帝時代のものだという。まだ100年しかたっていない。

古書には偽物が時々あるという。特に洋綴じの本(양장본)はそうだという。詩集に多いらしい。それから、影印本も、古くなると本物のように見えてしまうことがあるという。ある人は、『少年』という雑誌を持っている、と고서점の主人に言ったそうだ。そうですか、それは300万ウォンぐらいしますよと答えた。その後、その人が雑誌を持ってきたのを見たら、なんとそれは、影印本だったそうだ。影印本もかなり古くなっていたために、本物のように見えるのだった。主人は本物を見たことがあるので、それが影印本だということがすぐに分かったという。気の毒なのは持ち主で、その落胆振りといったらなかったそうだ。古書を見る難しさをつくづく感じた。

写真の話をした。昨日、私が主人と話をしているときにも、ある大学生ぐらいの女性が、店の中に入って写真を撮り始めた。それで主人が、写真は許可を得てから撮ってくださいと言っていた。책방골목のサイトに、黙って写真を撮ることに対する不快感を表す書き込みがあるのを読んだ。それらを見ると、私が日本的な感覚の中からいまだに抜け出せていないのではないかという気がした。

私は、建物を外から撮るのは問題ないけれど、内部を撮るのはマナー違反だと考えている。もちろん、観光地でない普通の家屋や派出所などを撮ると、あらぬ疑いをかけられる恐れがあるので、避けているけれども、ビルでも看板でも、何でも撮る。記録が貴重だという点と、プライバシーを尊重しなければならないという点とのバランスを取って、そのように考えているわけだ。それに、ブログなどでその店を紹介するとき、内部の写真を載せるのでなく、外観を載せた方が、ずっと実用的だ。内部は行けば分かるけれど、外観はその店を探すときの目安になるからだ。

結局私は、店の外観を撮るのを嫌がる店主も理解しがたいし、店内の書架を、頼めば撮影させてくれるというのも、理解しがたいのだった。だから私は今までに、뿌리서점と신촌헌책방以外は、本棚の写真を撮ったことがない。

고서점は、特に語文関係の古書が多く、インターネット価格も妥当だ。チェックしておくべきネット古書店の一つだし、直接訪問すれば、さらに多くの本を見ることができる。11時ごろから店を開き、夜は20時30分から21時ごろ店を閉じるそうだ。

고서점の住所は、부산시 중구 보수동1가 119。電話番号は、051-253-7220。ウェブサイトは、www.oldbookshop.co.kr
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by ijustat | 2010-02-25 14:07 | Bookshops


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