책나라

2010年2月16日、火曜日。신고서점を出てから、회기駅の付近にある책나라 서점へ足を運んだ。歩いている途中、看板に平仮名で「うざい」と書いたとんかつ屋があったり、「海鑫樓」という、どう読んだものか首を傾げさせる中華料理屋があったり、“아동도서 할인매장”という、それだけで商売が成り立つのだろうかと心配になる本屋があったりした。そうこうするうちに、「책나라」と大きく書かれた看板が現れた。

店の前には、本が露天商のように並んでいる。その中に、『林巨正』という題の7冊組みの漫画本があるのが目を引いた。表紙の紙の色からして古そうだったけれど、漫画のタイトルが漢字というのも、時代を感じさせる。

店に入ると、入り口のすぐ右側に、痩せた初老の人がいた。なぜ男性とか女性とか言わないかというと、一目見たとき、どちらなのか分からなかったからだ。髪もパーマで、黒ぶちの大きな眼鏡をかけ、服装も、ラフな格好をしていた。そのどれを見ても、男性的でもないし、女性的でもないのだ。挨拶をすると、声をかけてきたので、男性だということが分かった。

中をぐるっと見回すと、参考書類もあるけれど、けっこういい本もあるし、資料集のような本もある。50年代や60年代ごろの、古色蒼然とした本もあった。黒ずんだ分厚い本で、『우리말 큰사전』というくすんだ背文字が目に付いた。文世榮という著者名が見える。奥付を見ると、4286年(西暦1953年)に出版されたもので、この版は4288年だった。巻が揃っていない『큰사전』(한글학회。揃えば全6巻)もある。책방진호の主人は、『큰사전』はありふれた(흔해빠진)本だといっていたけれど、少なくとも책나라の主人は全巻揃えるのに苦労しているようだ。

主人の机の後ろの棚には、古書や稀覯本が置いてある。その左のあたりに、昔の本が積んであって、本が破損する恐れがあるので主人の許しを得てから見てくださいと書いてあった。どんな本なんですかと聞くと、四書五経や唐詩などの木版本だという。諺文の本はありませんかと聞くと、ないという。説明を聞いただけで、実際に手に取って見ることはしなかった。

インターネットはやらないんですかと聞くと、やってますってばという。そして、名刺をくれた(あとで名刺に刷られているURLに入ってみたら、見たことのあるサイトだった。コンピュータを見ると、おきにいりに入れてあった)。 名刺に刷られている2人の名前は、自分の甥と、妻のものだと言いながら、自分の名前を名刺に書いてくれた。主人の名前は、兪文東氏。68歳だという。もとジャーナリスト。서울신문사に勤めていたこともあるという。詩人でもある。

探している本を書いた紙切れを見せた。持っていないということだった。『윤동주 자필 시고전집』はなくて、かわりに윤동주시집の初版本があるという。윤동주시집の初版本は、何十万ウォンだか何百万ウォンする貴重本だけれど、それは、自筆原稿集の写真版には比べられないと思うのだけれど、自筆原稿集は、1999年に1度出たきり、ぜんぜん刷られていない。結局、私が探している本は、1冊もなかった。

これらの本はインターネットに載せてあるんですかと聞くと、インターネットに載せているのは主に教材や昔の本などで、人文書などは家内がインターネットに載せるのを控えているといった。面倒なこともあるけれど、学生が万引きをするために、注文が来てから探してみると本がなくて、謝罪して返金しなければならないことがあり、大変厄介なのだそうだ。それを聞いて、売り場とインターネット販売を一緒にやることは、けっこう面倒そうだと思った。

主人は、本が出てきたら連絡するから、電話番号と名前を書いておきなさいといって、台帳を広げた。私が名前を書くと、えっ日本人なのかといって、目を丸くした。そして、顔をほころばせて私の韓国語を立派だと言い、日本の本を1冊どれでもただであげようと言ってくれた。そこで、日本の小説などがある棚を見ていると、歴史の本にいい本があるという。私は歴史の本を見る目が無い。ただ、主人が持ってきた本の中に、朴炳植の名が見えた。いやしくも語学をやっているからには、朴炳植氏のような、実証なしに直感によって日本語を韓国語と結び付ける遊びに、関心を持つべきではないだろう。昔、この人の本を立ち読みしたとき、自分やり方を“研究”と呼んでいたのを見て大いに違和感を覚えたことがある。主人が、この本はいい本だと言うので、批判するのも申し訳なくて、ああそうなんですかと答えた。結局、『父の詫び状』(向田邦子著、文春文庫、1981。1988年22刷)をいただくことにした。

たまたま居合わせた、私と同じぐらいの年の男性が、私が日本人だということを知って、そんなに韓国語が上手な人に初めて会ったと言った。恥ずかしかった。自分は完璧を目指しているのだけれど、いまだに本を読む速度は日本語を読むときよりも、ずっと遅い。しかも、韓国語の勉強を始めてから、もうすぐ25年になろうとしている。それでこの実力では、誰に誇れるだろうか。

その人は、外大で経営学を専攻したけれど、副専攻として日本語を学んだそうだ。かばんから、『文藝春秋』を出して見せてくれた。定期購読しているのだという。ページを開くと、几帳面に赤で傍線が引いてあった。日本の雑誌は、政府の批判も歯に衣を着せないのがうらやましく、また未来の展望も優れているという。私はどんどん小さくなっていった。

店先にあった『林巨正』(고우영文・絵、도서출판 宇石、1985。初版)を買うことにした。1冊4,000원で計28,000원になるところを、25,000원にしてくれた。ちなみに、林巨正は普通、「임거정」と読まずに「임꺽정」と読む。16世紀頃の大泥棒だとういことだけれど、詳しいことは寡聞のため知らない。

고우영の『林巨正』は、1971年1月1日から連載されたそうだ。本として出たのは、1979年版が最初のようで、오복서점では、その第1巻だけが15,000원で出ていた。ただ、全部で何巻なのかは分からない。85年版は、全巻揃っているものが、노마드북で100,000원、book4949では、6巻までしかないものが80,000원。1994年に出た3巻セットは、まだけっこう出回っているようだ。でも、だいたい50,000원前後で売られている。

『林巨正』の出だしを少し読んでみた。著者が絵とともにその概要を解説している。

임꺽정이란 어떤 인물인가? 기록에 남은 것을 보면……양주에서 태어난 백정. 키는 7척이 넘고……눈은 화경 같은데, 그 위에 눈썹이 솔밭같이 질고, 한번 힘을 쓰면 돌을 움켜 물을 짠다. 천연석에서 물이야 나오랴만……도저히 상식으로는 믿을 수 없으리 만큼 힘이 세었던 모양이다. 열 다섯살 되던 해에 몽둥이 하나로 곰을 떼려 잡았다하니 가의 짐작할 수 있다.

그가 살았던 시대는 서기로 1500년대 이조(李朝) 13대 왕 명종이 12세의 어린 나이로 즉위하여 모후 문정왕후의 섭정을 받으니……모후의 인척 윤 원형(尹 元衡)이 실권을 뺏어 왕 아닌 다른 사람에게 왕권이 있던 때이다. (6쪽)
どことなくユーモラスな語り口で読者を引き込んでいくけれど、このユーモアが、고우영漫画の人気の理由だという。

帰宅後、『父の詫び状』の冒頭の部分を少し読んでみた。なんと流麗な文章なのだろう! 淡々としているけれど、風情があり、優雅で、そのうえ明瞭な文章だ。数行読んで、圧倒された。

책나라 서점の住所は、서울시 동대문구 휘경동 183-386。電話番号は、02-960-7484。ウェブサイトは、www.booknation.co.kr。책나라を紹介した記事やブログなどのうち、特にいいものは、次の通り。これを読めば、책나라がどんな感じの店か、生き生きと伝わってくるだろう。

2000.10.13 <헌책방 날적이>
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?cntn_cd=A0000020909

2005.12.29 <헌책방 순례>
http://www.hani.co.kr/arti/SERIES/20/91583.html

2008.05.05 <헌책방 나들이>
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0000893333

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by ijustat | 2010-02-17 20:43 | Bookshops


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