『滿文 니샨 巫人傳』

成百仁 譯註、제이앤씨、2008。ISBN: 9788956686202

満州語の研究書。しかし、物語をテキストにしているので、満州語はできなくても、物語の韓国語訳は面白く読むことができる。

c0019613_17154212.jpgこの本は、「Nišan saman i bithe emu debtelin. Tacibukū Ge looye ningge..(니샨 呪神人傳 一冊.. 敎師 Ge 老爺의 것)」と題された手稿本をあつかっている。構成は、「머리말」で簡単にテキストの由来を説明したあと、本文が4部に分かれている。まず、この物語の言語的特長を説明し、次にローマ字転写した満州語のテキスト全文に韓国語の逐語訳を施し、その次に「意訳」と称する韓国語訳を載せ、最後に現物の写真版を載せている。言語的特長については詳しく解説しているけれど、内容の解題はない。

満州語を研究している人にはもちろん貴重な資料だろうけれど、満州語をほとんど知らない私のような者にも、なかなか興味深い読み物だ。満州語は形態論が比較的単純なので、『世界言語概説 下巻』(研究社、1955)の「満州語文語形態論」をざっと読んだあと、この本の逐語訳の部分を読めば、満州語がどのように使われる言語なのかが大体分かるだろう。満州語は韓国語と語順が同じなので、逐語訳を読んでも意味が通る。

c0019613_3261686.jpg今日(2010年2月5日)、교보문고で語文学関係のコーナーにある専門書を目に付くまま手に取っては眺めていたとき、たまたまこの本に出会った。現物の写真版を見たとき、もちろんぜんぜん判読できないのだけれど、その文字の優雅で立派なのに魅せられた。

帰宅後、物語の韓国語訳を通読した。内容はシャーマン(巫女)の冒険物語だ。ある大金持ちの息子が死に、生き返らせてくれと父親がニシャンという名のシャーマンに懇願する。ニシャンは、その息子を生き返らせるために呪文を唱えると、その場に倒れて気を失う。

c0019613_17183055.jpgニシャンの魂は黄泉の国へ赴いた。そして、大金持ちの息子の霊を閻魔大王から奪い返し、数々の困難を乗り越えて再び息子を生き返らせることに成功する。

しかし、その過程で、死んだ夫に会うことが禍根となる。夫は他人を生き返らせるなら自分も生き返らせろと迫る。しかし、夫の体はすでに朽ち果ててしまったので、それは無理だと言うと、夫はニシャンを殺そうとした。そのとき助け舟が出て、夫を吹き飛ばす。

ニシャンの姑は、ニシャンが黄泉で自分の息子にしたことを知り、皇帝に直訴する。皇帝はニシャンを井戸に沈めて殺すよう命じる。

一方大金持ちの息子は、黄泉で見てきた経験から、よい行いをしなければならないことを悟り、その結果、子孫代々豊かに暮らした。

話自体は、シャーマニズムと仏教的世界観を融合させた、なかなかダイナミックな冒険物語だけれど、英雄的働きをした巫女ニシャンが悲惨な死を遂げるのは、あまり後味のいいものではなかった。でも、たぶん満州の人たちにとっては、ニシャンが死んだ方が納得がいくのだろう。

物語自体は民間伝承で、訳注者が「이 巫人傳은 북방 여러 민족들의 언어로 지금도 口傳되고 있는 것 같다」(7쪽)と書いているように、今でも中国東北地方では、トゥングース系の各言語でこの物語が語り継がれているらしい。そのような民間伝承の物語ではあるけれど、それを筆記した人は、大変立派な美しい文字でこの物語を綴っている。筆写時期は20世紀初頭とのことだ。
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by ijustat | 2010-02-05 22:47 | Books


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