헌책방 오거서

夕べ(2009年12月11日)、アラビア語の辞書が手に入らないか調べていたとき、偶然この헌책방 오거서に出会った。このとき見つけたのは『표준 아랍어 - 한국어사전』(이종택編、명지대학교 아랍어과、1987)という辞書で、驚いたことに、ここ以外には韓国の図書館2か所と、外国の図書館に1か所出ているだけだった。

c0019613_2037290.jpg時計を見ると、20時30分を少し回っている。ホームページに電話番号が載っていたので掛けてみた。出ない。携帯電話の番号もあったので、そっちに電話してみた。すると、年配らしい男の人の声が出た。見つけた本の名前を言い、何時までやっていますかと尋ねると、もう今日は店じまいをしましたとのことだった。翌日は結婚式に呼ばれているので、店を開くのは午後4時ごろになるだろうという。

それで、今日(12日)午後4時ごろ、インターネットで所在地を確認して地図に印を付け、家を出た。私の家からそこまでは、강변북로を使えばほぼまっすぐ行くことができる。そして、양화대교北端を過ぎたあと最初の出口を出て、そこから450メートルほどだ。

着いてみると、ずいぶん奥まった裏通りに店がある。地図には商店街と出ているけれど、だいぶ鄙びていた。店の看板も、見ての通り、ちっとも風情がない。

店に入ると、入り口のすぐ右に主人が座っていた。夕べお電話差し上げた者ですと言うと、ああと言って、その辞書を本棚から取り出してきた。裏表紙に「대한민국해병대 R.O.K MARINE CORPS」と印刷された大きな円いメタリックのシールが貼ってある。開いてみると、面白いのは各ページが2列になっていて、アラビア語と韓国語が、頭をつき合わせる形で並んでいる。そして、左から右に列が流れていく。印刷状態はわりと良好で、読みやすい字体で印刷されている。少しだけ書き込みがある。

この辞書は再版されずに消えてしまったようだけれど、もしかしたら、他の著作を無許可で利用していたことが原因かも知れない。序文に「일본 제3서관의 '현대 아랍어 소사전'의 활자가 제일 깨끗하여 이것의 본을 뜨고 거기에다 뜻을 쓰면서 간간히 칸을 좁혀 단어를 보완했다」と、日本の辞書のアラビア語部分を使ったことが書いてあるし、それに続き「부록에 아랍어 그림사전을 추가했다」と言っている「그림사전」は、英語圏で作られたものをコピーして使ったようだ。このように、オリジナルの著作ではない部分があるのだ。

もっとも、これは仕方ない面もある。この辞書が編纂されていた当時は、韓国はまだ国際著作権法に加入していなかった。だから、韓国内で出版される場合、外国書籍の著作権者に使用許可を求める必要がなかった。しかも、前書きに「국내에서는 인쇄가 불가능하고 또 비용이 엄청나다」と陳べているように、韓国ではアラビア語の印刷ができる状況になかった。日本でも、1980年に出た『詳解 アラビア語―日本語辞典』(株式会社ユナイテッドパブリッシャーズ)の前書きを読むと、「わが国におけるアラビア語印刷に伴う技術上の困難とこれに伴う莫大な経費を考えて、当社ではベイルートの Dar Al-Mashreq 社のアラビア語―英語辞典 Al-Faraid Al-Durriyat を基礎辞典として選」んだと明かしている。もっとも、そのときは、内乱中のレバノンに所在する Dar Al-Mashreq 社と連絡を取るために、レバノン大使館の助けを借りるなどして、苦労しながらも翻刻権を取っている。韓国では、当時はそのような翻刻権を取る必要がなかったわけだ。

ところが、辞書が出版されたのと同じ頃の1987年、韓国は国際著作権法に加入した。そのために、『표준 아랍어 - 한국어사전』の出版は一夜にして違法になってしまった。もっとも、韓国ではその後もずいぶん長い間、外国書籍の無断翻刻・無断翻訳が続けられて来ており、今でも海賊版の地下出版が命脈を保っているほどだ。それで、これは勝手な想像だけれど、この辞書の出版元と編纂者は、その法律が施行されるとすぐ、慣例に乗じて違法でこの辞書を出し続けることを潔しとせず、すぐさま絶版にしたのではないだろうか。その結果、初版しか出ておらず、冊数も少ないため、古本屋でもほとんど見かけることができなくなった。いずれにしても、私にとっては貴重な1冊だ。(뿌리서점の主人に『표준 아랍어 - 한국어사전』のことを話すと、今まで2~3回扱った記憶があると言っていた。だから、幻の本というほどではないようだ。)

この辞書は、本当に希少な本だけれど、主人の話では、アラビア語の本は全般的に、なかなか手に入らないらしい。特に、アラビア圏で出版されたコーランを人から頼まれて購入しようとしたことがあったけれど、アラブ圏の人たちは、コーランを売ろうともしなかったそうだ。私が、アラビア語の原文なら교보문고で手に入ると言ったけれど、原文のテキストが重要なのではなく、アラビア圏で出版されたものであることが重要らしかった。

ところで、今日は午後4時から店を開くと言われたので遅く来たけれど、普段は何時から店を開くのだろうか。尋ねると、午前9時半に店を開くということだった。そして午後は主にインターネットの販売に労力を費やし、そのため夕方6時には店を閉めるとのことだ。ということは、午前中に来てゆっくり本を見ることもできるわけだ。

そこで、本棚を見回ってみた。まず主人の席の背後には、いわゆる古書が並んでいる。『우리말본』の65年に出た版もあった。私も同じ版を持っているけれど、私のはケースもカバーも失われている。しかし、この本は完全な形で残っていた。

他の本棚も、比較的に価値のある本で埋められていた。価値のない本が入って来ないように、注意深く選書しているという印象を受けた。日本の本も少しながらあったけれど、それもやはり、価値のありそうな本だった。もちろん、私の言う価値というのは、値打ちのことではない。良質の知識を提供してくれる、存在意義の大きな本ということだ。

語文学関係の本は左から2番目の通路にあり、右側の最初と2番目の本棚にまとまっていた。『改稿新版 國語音韻學』(許雄著、正音社、1965)があった。『국어음운학』の漢字交じりバージョンがあるとは知らなかった。それから、『漢文文法』(洪寅杓著、新雅社、1976)という本もあった。レイアウトが読みやすくできていて、専門書ではあるようだけれど、学習書としても使いやすい体裁になっている。

主人の後ろにある本をもう少し見てみると、三好達治の『艸千里』(四季社、1939年)があった。それも初版本。状態も悪くない。これは、初版本でなくても胸高鳴る詩集だ。私は三好達治の詩が好きだ。でも、値段を聞くと、なんと100,000원もするとのことだった。

主人はコンピュータで何やら作業をしていたけれど、見ると、本をスキャナで撮って画像をいちいち編集しながら、書誌情報と一緒にホームページに上げていた。大変な作業だ。「スキャナで撮ってるんですか。どうりで画像が鮮明だと思ったけれど、大変な作業ですねえ」と感嘆すると、「ええ、時間がかかるんですよ」と言いながら、黙々と画像の読み取りと編集を繰り返していた。

店に客は私以外にもう一人だけ、来ていた。その人は老人介護に関心があり、最近その資格を取ったと言っていた。韓国語では介護士のことを「요양보호사」と言うそうだ。

今日買ったのは、次の3冊。

 『표준 아랍어 - 한국어사전』(이종택編、명지대학교 아랍어과、1987。初版本)
 『改稿新版 國語音韻學』(許雄著、正音社、1965。1972年6版)
 『漢文文法』(洪寅杓著、新雅社、1976。1996年8刷)

アラビア語の辞書は15,000원で、国語音韻学は5,000원、漢文文法は7,000원だった。帰宅後、헌책방 오거서のホームページを確認すると、アラビア語の辞書は品切れとなっていた。この商品を品切れにしたのは、私だ。

それにしても、三好達治の艸千里! そういうものに欲を出すのはよくないと思うけれど、心惹かれてたまらない。ただ、値段が高いのが難点だ。でも、それだって、不当なほど高いとは思えなかった(日本の古本サイトでは、初版本は31,500円と出ている。これは、現在のレートで換算すると、約400,000원にもなる!)。だからこそ、こうやって湧き起こる未練に心悩まされているわけだ。

そんな本を扱う古本屋である。私だけの秘密の店にしておきたいけれど、そうは言っていられない。この宝のような古本屋が存続するためには、どんどん人に紹介しなければ……。

ところで、“오거서”といのは風変わりな名前だ。それについて、최종규記者が9年前の2000年11月8日に、この店を紹介しながら書いている。

<오거서(五車書)>란 말 들어 보셨나요? 소 한 마리가 다섯 수레를 가득 채워 나를 만한 책을 가리키는 옛말입니다.
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?cntn_cd=A0000023252
つまり、汗牛充棟と同じような意味で、蔵書の多さを形容する表現だ。命名の理由について、최종규記者は「<오거서> 아저씨는 사람들이 옛말을 따라 '다섯 수레가 될 만큼 책도 많이 읽고 세상도 폭넓게 배워가며 든 사람'이 되길 바랍니다」と説明している。自分がたくさんの本を所蔵しているという意味ではなく、人々が汗牛充棟の蔵書を有することを願っているというわけだ。

헌책방 오거서の所在地は、서울시 마포구 망원동 394-86。電話番号は、02-333-3282。店の名刺には、“3333-282”と奇抜な書き方で印刷されている。それから、携帯電話は016-279-0317。それから、ホームページもある。住所は、www.obooks.co.kr

-------------------------

翌々日の、2009年12月14日。妻と一緒に用事があって家を出たけれど、約束まで少し時間があったので、헌책방 오거서に立ち寄った。

店に入ると、犬の吼える声が耳を劈いた。吼えたのは主人ではない。主人の脇に、コリーのような犬が優雅に寝そべっていた。コリーに似てはいるけれど、もっと細長く高貴な顔立ち。その瞳は、まるで立派な言葉を語りそうに見えた。でも、私を見ながら荒っぽく「ワン! ワン!」とのたもうだけだった。

主人は私を見ると、一昨日の夜にインターネットで注文した本の梱包作業が済んでいるけれど、まだ発送はしていないと言う。お持ち帰りになりますかというので、はい、そうしますと答え、本を受け取った。実際私は、配達の過程で本が破損することを恐れていたので、直接手渡しで受け取れて、安心した。

それから少しの間、本棚を見た。『陸英修 女史』(朴木月著、三中堂、1977)という本があった。当時の本としては、しっかりした装丁で、保存状態も良好だ。ただ、私が読むような本ではなさそうだ。誰か関心がある人は、どうぞお買いください。1冊しかないので、早めに購入しよう。

妻は、ほしい本が見つからないようだった。私も高価な買い物をしていたので、今日は本を買うのを控えた。約束時間が迫っていたこともあり、注文していた本を受け取っただけで、「また来ます」と挨拶して店を出た。

-------------------------

2009年12月17日、学校で用事を済ませたあと、帰宅のついでに헝책방 오거서に寄った。左隣にあるコンビニでペットボトルのオレンジジュースを買って行き、主人に差し入れした。主人は恐縮したけれど、これは私の、헌책방 오거서の主人に対するささやかな尊敬のしるしだ。

また今日も、例の犬が私を見ると、荒々しい声でワン!ワン!とのたまった。主人に、この犬は何というのですかと尋ねると、아프간하운드(アフガンハウンド)だと言っていた。初めて聞く名前だ。私に向かって吼えるので、主人は犬に「やめろって言っただろ!(그러지 말라고 했잖아!)」と叱っていた。

語文学の上の方の棚を見ると、『한결 國語學論集』(한결고희기념논문간행회、1964。初版本、著者署名入り)があった。高そうだ。主人に値段を聞くと、50,000원だということだ。あとで、まだ売れていなければ買うことにした。その代わり、最初に来たときから目をつけていた『개화기의 한글 운동사』(이응호著、서청사、1975。初版本)を買った。20,000원。

主人に、本の買い取りもするんですかと尋ねると、買い取りもしていると言う。私が手放そうと思う本で、ここで引き取ってもらえそうな本はあまりなさそうだけれど、これはと思う本があったら持って来ますと言って、店を出た。

店を出るとき、主人はコンピュータ作業の手を休めて立ち上がり、何のお構いもできなかったのに(아무 대접도 못 해 드렸는데…)と言って恐縮した。私も恐縮してしまった。

-------------------------

2010年2月15日、月曜日の夜。インターネットで本の名前を検索していたとき、たまたま서상규先生の『국어정보학 입문』が헌책방 오거서にあるのを知った。そして、他の本と合わせて購買した。時刻は23時22分。

あとでメールが届き、注文した本の明細が出ていた。出版年度順に並べ替えて転載しておく。

국어학사 - 유창균외 / 민중서관 / 1976 / 200쪽 / 상태 상급 4,000
발화분석의 화행의미론적 연구 - 어학의 문학에로의 접근 - 김태자 / 탑출판사 / 1987(초판) / 163쪽 / 상태 상급 4,000
언어이론과 현대과학사상 - 이정민 / 서울대출판부 / 1992 / 317쪽 / 상태 상급 3,000
통일시대의 어문문제 - 고영근 / 길벗 / 1994(초판) / 550쪽 / 하드커버 7,000
영어란 무엇인가 - 한학성 / 을유문화사 / 1995 / 248쪽 / 상태 상급 4,000
국어정보학 입문 - 서상규 / 태학사 / 1999 / 314쪽 / 상태 상급 6,000
개정판 학교 문법론 - 이관규 / 월인 / 2003 / 590쪽 / 상태 상급 / 양장본 13,000
언어테스팅의 설계와 개발 - LyleF.Bachman / 범문사 / 2004 / 433쪽 / 상태 상급 11,000
そして今日(2010年2月17日)、夕方帰宅すると、本が届いていた。もう一度私のやり方で出版年度順に記録しておく。

 『國語學史』(兪昌均・姜信沆著、民衆書舘、1961。1976年10版)
 『言語理論과 現代科學思想』(李廷玟著、서울大學校 出版部、1986。1992年4刷)
 『발화분석의 화행의미론적 연구』(김태자著、탑출판사、1987。初版本)
 『영어란 무엇인가』(한학성著、을유문화사、1992。1995年4刷)
 『통일시대의 語文問題』(고영근著、도서출판 길벗、1994。初版本)
 『개정판 학교 문법론』(이관규著、도서출판 월인、1999。2002年改訂版;2003年3刷)
 『국어정보학 입문』(서상규・한영균著、태학사、1999)
 『언어테스팅의 설계와 개발』(Bachman & Palmer著/최인철他訳、pmb 범문사、2004)

届いた本を見て、驚いた。持っている本があった。『발화분석의 화행의미론적 연구』だ。もってはいるけれど、読んだこともなかった。でも、表紙の色と文字から来る印象は覚えている。持っている本を4,000원も出して買ってしまった。読まなかった罰に違いない。
[PR]
by ijustat | 2009-12-12 19:19 | Bookshops


<< 古本屋の魅力 흙서점 >>