교보문고(敎保文庫)

古本屋ではないけれど、私がよく行く本屋に교보문고がある。

この店はおそらく韓国で最大の本屋で、私が行く광화문の本店だけでなく、ソウル市内にも数箇所支店があり、全国に支店網が広がっている。オンラインとオフラインを通じ、日本で最大の本屋といったら、たぶんアマゾンと紀伊国屋だろうけれど、韓国では알라딘と교보문고と言ったらいいだろうか。알라딘はオンライン専門で、교보문고はオンラインとオフラインのどちらも扱っている。

교보문고は本屋の代表格で、新聞社などでは、どのような本がよく売れているかという調査を自分たちではせず、たいていは、교보문고の販売統計を利用しているようだ。出版界の動向などに関する話題になると、良くも悪くも교보문고が登場する。

だから、奇妙なのは、교보문고で買った本が교보문고に言及していることがとても多く、私が教材などを書くために資料を교보문고で買い、その教材は교보문고にも並ぶ。もしかしたら、有名な著者たちも、교보문고で本を買っているかもしれない。もしかしたら、何度もすれ違ったことがあるかもしれない。

そう思うと、何だかずいぶん狭い世界に住んでいるような気がする。なにしろ、自分が今いる場所から半径10キロメートル以内が舞台になる本ばかり読んでいるのだから。たとえば、京都の人たちは、古典文学を読むとき慣れ親しんだ地名が出てきて理解しやすい、という話を聞いたことがある。もちろん、古文が読めればの話だけれど、関東地方の人間には、古文は読めても地名は地図で確認するしかないのだから、その地名はぜんぜん生き生きと伝わってこない。しかし、ソウルに住んでソウルで書かれた本を読んでいると、出てくる地名は親しみを持って伝わってくる。

c0019613_20445151.jpg実際に、作家に会うこともある。漫画家の이현세のサイン会を見たし、ベルナール・ベルベルのサイン会も見た。でも、私はあまりサイン会に関心があるわけではないので、その列に並んだことはなかった。でも、先週の土曜日(2009年10月24日)、たまたま조정래のサイン会があるのを通りがかりに見かけた。

조정래は、韓国を代表する作家の一人だけれど、私は重い文学があまり肌に合わないのと、作家の作品は大作ばかりでとうてい読みきれそうにないのとで、手を出したこともなかった。しかし、そのサイン会は、『황홀한 글감옥』(참언론 시사IN북, 2009)というエッセイ集の出版を記念するもので、それは単行本だった。そこで、本を買ってサインをもらいたいという気が起こった。

手前のテーブルに並べてあった本を手に取り、作家の傍に立っていたお弟子さんらしき人に、今、会計してきますから、私もサインをもらいたいですというと、サイン会はもうすぐ終わってしまうから、まずサインをもらってから会計してくださいという。そうすることにした。

c0019613_205220100.jpgサインをしてもらうとき、まず名前を付箋に書く。私が書くのでなく、担当の人が書いてくれて、本に貼って待つ。私の順番になったとき、その人が、こちらは日本の方です(이 분은 일본분이에요)と言った。ほう、という表情でこちらを見上げたので、私がこの本を読んだら조정래先生は私の韓国語の先生になります(제가 이 책을 읽으면 조정래 선생님은 제 한국어 선생님이 됩니다)と、愛想めいたことを言いながら、サインしてもらうために本を渡した。

サインをもらってから、一緒に写真を撮った。撮影してくれたのは、김완일氏(だから、この2枚の写真の著作権は、김완일氏にある)。こうやって並んで撮られた写真を見ると、何だか顔がよく似ている。眉毛の辺りとか、目つきとか……。何だか奇妙な気分だ。

교보문고は、ある種の韓国文化の中心になっていて、連日大勢の来客があり、特に週末や休日は、店内はお祭りのようにごった返している。それを見ていたら、韓国人は本好きな人々だと誤解をしかねない。でも、私の推測では、교보문고に来る人たちはごく一部の本好きたちだ。実際には、韓国の本屋は苦戦を強いられているという話をよく聞く。その苦戦をさらに悪化させているのも、교보문고など大型書店の進出だという。私はそれに一役買っているというわけか。そういうわけで、一般の本屋には申し訳ないのだけれど、どういうわけか私のほしがる本は、半分以上が大型書店にしかないのだ。

교보문고のURLは、www.kyobobook.co.kr
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by ijustat | 2009-10-26 20:56 | Bookshops


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