『서른살 직장인 책읽기를 배우다』

韓国の本を紹介してみようと思う。日本では、韓国の本はあまり紹介されていないようだ。紹介していたとしても、たぶん芸能に関する内容か、あるいは槍玉に挙げる本ぐらいではないだろうか。そういう本でなければ、わざわざ韓国の本を紹介する理由がないのだろう。

しかし、私はソウルに住んでいるので、本屋に行って目の前に並んでいるのは、韓国の本ばかりだ。日本の本は、インターネットで図書情報を調べ、大型書店へ行って注文する。そして、届くのは3週間から4週間後だ。値段も韓国の本に比べてかなり高い。

それでも以前は、日本の本ばかり買って読んでいたのだけれど、今年に入ってから、だんだん韓国語の本を読む比率が高くなってきた。そのわけは、第一に、好きなものを選びやすいこと。第二に、本の話題も大体ソウルが中心なので身近で親しみやすいこと。第三に、韓国語のブラッシュアップになる。そうやって、実際に読んでみると、結構面白い本がたくさんある。それを紹介したくなるのは人情だ。

とはいえ、私が韓国語の本を読むスピードは遅い。1ページ読み進めるのに、平均して大体2分30秒くらいだ。これは、1時間に24ページしか読み進められないということだ。300ページの本を読むのに、12時間半かかる計算だ。まさか、朝8時に読み始めて夜8時半に読み終わる、なんて根気と体力は、私にはない。だからたいてい、短くて4日、長くて10日ぐらいかけて1冊を読み終わることになる。

ところが、この『서른살 직장인 책읽기를 배우다』(구본준・김미영著、위즈덤하우스 2009, ISBN: 9788960861831)は、土曜日の夜に買って、月曜日の夜に読み終わった。つまり、それだけハマったということだ。

土曜日に교보문고の人文書のコーナーで、ふと書名が目に留まった。そして著者名に、구본준の名前があった。구본준氏は、한겨레신문の記者だ。本書以前に『한국의 글쟁이들』(구본준著、한겨레출판 2008, ISBN: 9788984312777)を出していて、最近読んだとき、とても面白く有益だったので、著者名を覚えていたのだ。

前著もインタビューを中心にした本だったけれど、今回もやはりインタビューを軸にしていた。ただ、同僚の記者との共著ということで、体裁が少し違っていた。全部で3章に分れている。1章は、本を読まなかった自分が本を読むようになったいきさつ。2章は、一般人の책쟁이(読書の達人)14人へのインタビュー。3章は、インタビューから導き出した、読書を学ぶべき15の理由。そしてそのあとに、“책의 구루”(読書の師)として、정운찬教授、이어령教授、이지성氏、승효상氏という錚々たる文化人に、読書に関する話を聞いている。

こんな風に、何人もの読書の達人や文化人にインタビューをするというのは、大変贅沢な企画だ。一人に会っただけでもけっこう影響を受けるというのに、それが14人にもなると、読者に見識らしきものが芽生えてくる。読者でさえそうなのだから、インタビューをした著者本人は、もっと影響を受けたに違いない。直接達人にインタビューをした김미영記者は、次のような結論めいた内容を書いている。

まず、本書のターゲットである30代という年代について、「실용적인 독서는 계속 이어가되, 여기서 어느 정도 더 나아가 자기 삶의 고유한 향기를 만들어주는 책을 찾아 고민하는 시기가 아닐까?」(171ページ)と述べている。私はもう30代ではないけれど、30代のとき、そんなこと考えただろうか。

また、本というものの価値については、「책이란 '가장 적은 비용으로, 원하는 시간에 언제든지, 평생 동안 방해받지 않고 만날 수 있는 유용한 지식습득 도구'」(186ページ)と述べている。これは、책쟁이たちだけでなく、もともと2人の著者もそう考えていたことを、再確認したものだ。

それから、読書の意義については、「독서는 단순한 지식습득, 자기계발이 아니라 삶 자체를 바꾸는 획기적인 일」(188ページ)と、その価値の重大さを強調している。これは、インタビューに応じた책쟁이たちが、読書によって業務や人生に著しい変化を起こしていたことを、再確認したものだ。

一方、구본준記者は、インタビューの結果から導かれた、読書を学ぶべき15個の理由として、자기발전, 생존, 공부의 즐거움, 전문지식, 간접경험, 꿈, 성장, 사고력, 쉼표(安らぎ), 겸손, 자기애, 공유(分かち合い), 소통력, 인간관계(思いやり), 자아성찰をあげている。一人の勝手な考えでなく、何人もの読書家をインタビューした上での結果なので、説得力がある。(もちろん、この15項目が絶対に期待できる効果とはいえない。私の身近には、それらの効果が現れていない本読みがいるからだ。たぶん、読書方法が大きく間違っているのだろう。この本をプレゼントしたいけれど、惜しいかな、韓国語が読めない。)

本書では、インタビューを通して、重要な発見もしている。たとえば、「책을 오랫동안 읽게 되면 독서법이 예상 외로 자주 바뀐다」(133ページ)と述べ、個人の読書法は変遷することを指摘している。こういうことは、読書法の本にはまず書かれない内容だ。読書法を書く著者は、自分ではそれを経験していても、まさか本には書けないだろう。

また、個人の読書法が変遷するだけでなく、読書の志向も、娯楽と学習という2つの目的に分れることを指摘している。김미영記者は、「독서는 부담 없이 즐기며 해야 한다는 책쟁이들이 많은 반면, 분명한 목표의식을 갖고 전략적으로 하라는 사람들도 많다」(166ページ)と書いている。実際、各人の読書法は、互いに共通している点も多かったけれど、中には相容れないものもあった。たとえば、読書の達人の多くは、実用書を重視していたけれど、ある人は、実用書の価値を認めなかった。

ところで、本書がテーマとしているのは、読書の達人たちの読書実態を聞き取り調査することで、読書が社会人にとって必須のものであることを確かめ、優れた読書法をまとめるという点にある。それは、あくまでもジャーナリズムという形を取っているけれど、研究書にも匹敵するような内容だ。

この本の読書のノウハウは、娯楽から仕事、研究まで、多岐にわたっていて、まるで読書論の集大成のような趣がある。しかもそれが、ごく平易な文章で語られていて、どの話も興味深く読める。各インタビューの後ろに時々、読書戦略と称して、読書の仕方について有益な話を別にまとめている。その内容は、私には月並みなものも多かったけれど、中には私にとって重要な教訓になる部分もあった。

実に、本書は贅沢な読書論だ。それも、著者個人の経験から編み出したのではなく、合計18人のインタビュー結果から編み出したという点が特異だ。それが本書の内容に重厚感を与えている。

この本を読みながら、身近な人にこの本をプレゼントしようと思った。そして、何人かの顔を思い浮かべた。
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by ijustat | 2009-09-01 01:38 | Books


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