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拉麺魁(라멘카이)

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この店へ食べに行く人といえば、1)たまたま店の前を通りかかった韓国人、2)日本のものに関心のある韓国人、3)韓国に住んでいる日本人、4)日本国内に住むラーメン狂で海外のラーメンにまで手を出す人だろう。つまり、韓国に関心のある日本人の旅行客でわざわざこの店に足を運ぶのは、見当違いということだ。

拉麺魁(라멘카이)_c0019613_3158.jpgしかし私はこの店が意外と気に入っていて、時々足を運ぶ。そのわけは、第一に、深夜営業をやっていること。午前4時までやっているそうだ。第二に、夜中には近所に車を停めてもとがめられないこと。第三に、店内の落書きが目を引くこと。そして第四に、ラーメンの味も悪くないことだ。

もちろん、本場の味を期待してはいけない。日本以上に味の優れた日本料理を作る韓国の日本料理店なんて、考えられない。そういうわけで、私は日本に帰ると、寿司、てんぷら、ラーメン、チャーハン、餃子、カレー、うどんなど、日本の料理を貪るのである。(父が、ラーメン、チャーハン、餃子、カレーを日本の料理だと私が言うのを聞いて、何をかいわんやと憤慨していた。しかしそれは見当外れというものだ。どこの国へ行って、日本のラーメン、餃子、カレーを食べられるだろうか!)

拉麺魁(라멘카이)_c0019613_2453152.jpgこの拉麺魁(라멘카이)という店は、홍대입구の学生街にある。この学生街は他の学生街とは印象が違う。홍익대학교は美術が有名なせいか、一帯の街づくり全体が、奇抜なデザインに満ちているのだ。特にこの拉麺魁がある通りは、公園のようになっていて、歩き回るだけでも楽しい。私が韓国に来た1990年には、ここは田舎道みたいに埃っぽくて、近くには田んぼがあった。そのときそこの通りの古本屋で買った本を今も持っているけれど、そこがどこだったか、正確な地点を特定することは、もう無理だ。

拉麺魁(라멘카이)_c0019613_2521843.jpg今回は、長男と一緒に行った。長男は食べ物にあまりこだわらないので、付き合いやすい。今夜もまた、홍대입구へラーメンを食べに行こうか、と誘うと、一言も文句を言わずについて来た。

私たちが食べたのは、上の写真にある시오라멘(塩ラーメン)。6千ウォンだ。味は関東地方のラーメンに比べると薄めで、関東人のくせに味の濃い料理が苦手な私には、ちょうどいい。わりと野菜がたくさん入っているので、食べたあと、さっぱりした快さが残る。チャーシューも美味しかった。

ちなみにメニューの一部を紹介すると、스테미너라멘 15,000원、가라미소라멘(메운맛) 7,000원、돈꼬츠라멘(진한육수맛) 7,000원、미소라멘(된장맛) 6,000원、쇼유라멘(간장맛) 6,000원, 시오라멘(소금맛) 6,000원。ハングルさえ読めれば、韓国語がよく分からなくても料理が選べる。

少し説明を加えれば、「스테미너」は「스태미나」が正しい表記だ。正しいとは言っても、それに対する反発もあるので、あまり態度を大きくすることは出来ないかもしれないけれど、いくら考えても「스테미너」は変だ。しかし、Google で検索してみれば分かるけれど、標準形の「스태미나」(約 76,200 件)よりも、非標準形の「스테미너」(約 83,500 件)の方がたくさん使われている。

それから、「돈꼬츠」(Google では約 5,040 件検出)は、現行の外来語表記法では「돈코쓰」(約 489 件)が正しく、고려대학교の主張する表記によれば「돈코츠」(約 24,900 件)となる。1988年以前の表記だったら「돈꼬쯔」(約 313 件)だ。つまり何が言いたいかといえば、「돈꼬츠」という綴り方は、数こそ多いけれど、権威あるどの表記にも引っかからないということだ。

いや、本当は文句が言いたかったのではなく、日本語をハングルで表記した名前の右にある括弧の中の言葉は、その日本語の意味を解説している部分であることを言いたかったのだ。「돈꼬츠라멘」の説明にある「육수」とは、肉を煮出したスープのこと。私の手元にある『엣센스韓日辞典』(民衆書林)では、「肉を煮出した汁」と書いてある。なんだか食欲が落ちそうな説明だ。けれども「육수」はたいてい美味しいものだ。このメニューでは、とんこつスープを「진한 육수」と訳している。「진한」は「濃い」とか「濃厚な」という意味だ。

今夜は店に出ていなかったけれど、店長は日本語が流暢だ。日本に何年か住んでいたそうだ。日本での生活経験が、홍대입구の雰囲気とあいまって、店の独特な感じを作り出しているのだろう。たしか初めてこの店に行ったときだったか、店に本を置き忘れてしまった。帰宅後に気がついて電話すると、店長が出て本の名前を言った。店長は日本語が読めることも、それで明らかになった。

拉麺魁の住所は서울시 마포구 동교동164-10。地下1階にある。電話番号は、02-352-6951。駐車場は“엄두도 못 내!”だけれど、深夜に行けば、その辺に停めることが出来る。まあ、自己責任においての話だけれども。
by ijustat | 2009-08-09 03:15 | Restaurants


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