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모든 책은 헌책이다

최종규著、그물코、2004。ISBN : 8990090180

모든 책은 헌책이다_c0019613_114133.jpg古本と古本屋について書いた本だ。もう少し詳しく言うと、古本がいかに価値あるものかを紹介し、その古本を発掘し流通させる古本屋は文化の保存に貢献していることを力説している。

日本でなら、古本屋というのは十分に面白い話題になるし、その価値は認識されているから、なぜこういう本を書いたかと説明すると、かえってまだるっこしい。ところが、韓国では事情が違う。著者はまえがきで、そのことについて触れ、次のように述べている。

이러다가는 헌책방이 다 사라질지도 모르고, 헌책방을 소중한 책 문화와 책쉼터로 느끼지 않거나 못하는 아쉬운 우리 현실과 눈높이를 가다듬으면 좋겠다는 마음으로 책 하나를 세상에 내놓습니다. (6쪽)
「이러다가는」というのは、古本屋がどんどん減ってきている現状を言っている。そして、古本屋に対する一般の韓国人の認識は、驚くほど低い。それではいけないと著者は感じている。この本では、古本屋を巡り、そこで出会った古本屋の主人との対話や、そこで出会った本の書評をして、それらの宝を掘り出して再び読者の手に渡す古本屋という仕事の重要さを強調している。

実はこの本を読むまで、そのような古本屋の重要さについて、認識したことすらなかった。古本屋は私にとって、なくてはならない存在だった。それを探すことは、空気の中に暮らすことぐらい、普通なことだった。しかし著者は、その空気がなくなってしまう危機を警告し、空気がどれだけ生命を豊かに実らせているかを見せてくれているわけだ。

この本は、大部分が古本屋巡りをしながら経験したことを骨格に、そこで出会った本の書評や、それらの本の意義について書いている。その読書の幅は、私のように偏っている人間から見ると、大変幅広く見える。ただし、韓国知識人の一般的傾向として、社会・人文系統の本が多い。

もしかしたら、古本屋のことを書くにしては、本の話と自分の考えが多すぎるのではないかと思う人もいるかもしれない。しかし、この本に対するインターネットの記事は好意的だ。それは、本が大事だという主張だけでは言い表すことのできない、本が私たちに与えてくれる利益を、まざまざと見せてくれているからだろう。日本にも、古本屋を巡ってそこで出会った本の魅力をたっぷりと伝えてくれる本はある。そういう脈絡で読めば、この本も同じような内容に見えるかもしれない。しかし、『모든 책은 헌책이다』が私たちにとって独特なのは、古本の魅力が認識されていないという韓国の実情の中で、一部の知識人や古本マニアしか知らない古本の大切さや魅力を強調しているという点だ。一見脱線に見える本についての感想が、実はこの本をいっそう豊かにしている。

この本は、主に오마이뉴스に連載されている최종규氏の「헌책방 나들이」というシリーズものの記事を中心に収録している。私も最近、ソウルの古本屋を巡りながら、その経験談をこのブログに書いているけれど、최종규氏の内容に比べたら、うすっぴらだ。私は、単なる好奇心から出発して、古本屋を巡りながら、それを書き留めることで少しずついろいろなことを学んでいるに過ぎないけれど、최종규氏は、長い年月を掛けて本格的に調べている。ソウル中の古本屋をくまなく巡るだけではなく、부산・인천・대전・청주・진주・제주と、地方都市の古本屋にまで足を伸ばし、そこにもすばらしい古本屋があることを紹介している。その経験をもとに、古本屋が社会的にどのような位置にあるのかを考察している。

古本屋めぐりに関しては、한겨레신문の임종업記者も「헌책방 순례」というシリーズものの記事を書いている。これも、インターネットで読める。その記事は、さすが記者だけあって、叙述や描写が的確だ。実は、私は新聞記者に対する不信感があって、文章を面白くするために内容を色付けしているのではないかといつも疑っているのだけれど、実際に行って来た古本屋について、あとで임종업記者の書いた記事を見つけて読むと、自分が見て感じたまさにそのままを描写しているので、誠実で信頼の置ける記事であることが分かる。ただし、このシリーズものの記事は、韓国文化の一端を担う古本屋を紹介して歩くという趣旨なので、その置かれている社会的位置や、その仕事の具体的な様子などについては触れていない。また、分量もそれほど多いわけではない。だから、韓国の古本屋について論じようと思うなら、『모든 책은 헌책이다』や、インターネットで最近も連載が続いている「헌책방 나들이」を読む必要があるだろう。現在韓国では、古本屋に関しては、초종규氏の右に出る人はいない。この人の書いたものを読んでからでなければ、それ以上のものは書けないだろう。

古本屋について著者の최종규氏が主張している部分をかいつまんでみよう。まず、古本屋の価値について、著者は次のように述べている。

오늘 보았을 때 아무것도 아니던 책이 열 해 뒤에는 무척 소중한 책이 될 수도 있는 게 헌책방 책입니다. (310쪽)
だからこそ、古本屋が必要なわけだ。もし新刊の本だけに価値があるのだったら、このようなことにはならない。しかし、現実には新刊に負けず劣らず、古本の価値は大きい。

この本では、古本屋が減少しつつある原因や、減少せざるを得ない理由について、事細かに述べている。まず、出版業自体の不振を挙げ、次のように書いている。

헌책방이 사라져 가는 까닭은 여럿입니다. 무엇보다도 책장사가 안되니 문을 닫습니다. 책장사가 안되는 까닭도 여럿입니다. 책을 새책으로 사 보는 사람이 준 게 첫째이고, 다른 이가 읽고 내놓은 헌책을 사 보는 사람이 준 게 둘째입니다. 사회가 책을 읽지 못하도록 하는 게 셋째이고, 아무리 그렇다 해도 우리 스스로 책을 찾아서 읽으려 하지 않는 게 넷째입니다. (374쪽)
それに、読書習慣の貧困についても指摘している。

사람들이 책을 자꾸 안 읽어 버릇하고, 읽어도 방송이나 신문에서 떠드는 책 몇 가지만 읽으니, 헌책방으로 들어오는 책이 줄어드는데다 들어오는 책마저 맨 그게 그거라는 것. (264~265쪽)
ソウルの古本屋に行くと、私が日本人だということを知った人から、日本は読書習慣がよく身についているとほめられることが多い。たぶん、隣の田んぼは青く見えるのだろうと思うけれど、それぐらい、韓国では読書をしない人が増え、また読書の質も落ちていることを物語っているのに違いない。

このことと関連して著者は、古本愛好者に対しても一言忠告している。

사실 새로 나온 책을 바로바로 '새책'으로 사서 읽는다면 훌륭하고 좋은 책이 판이 끊어져서 헌책방에서만 만날 수 있는 슬픔을 벗어날 수 있거든요. 새책방 없는 헌책방이 없기에, 무턱대고 갓 나온 책을 헌책방에서 싸게만 사려는 일은 헌책방과 새책방 모두에게 도움이 안 됩니다. (5쪽)
本が出たらすぐに古本で読もうとされては、出版社も新刊書店もたまったものではない。そのような悪習を直さなければ、本から受ける恩恵は、どんどん減ってしまう。そのために、古本を読もうと勧める本が、まず新刊書をたくさん読もうと主張している。

たとえば、『옛책, 그 언저리에서』(공진석著、학민사、1991)という本が、古本マニアが血眼になって探す本になってしまったことについて、著者は次のように批判的に書いている。

새책으로 사서 읽어 주었으면 그래도 이 책 목숨은 좀더 오래 버텼을 테고, 헌책방에도 헌책으로 더 많이 나올 수 있었겠죠. 하지만 책이 나왔을 때는 눈길 한 번 제대로 안 주고, 판이 끊어진 뒤 헌책방 <공씨책방>에서 잔뜩 갖다 놓고 팔았어도 찾아보지 않다가, 뒤늦게야 헌책방이 어떠고 저떠고 하면서 찾아보려 하니 참으로 안쓰러울 뿐입니다. (402쪽)
これについて、一言自己弁護しておこう。私も『옛책, 그 언저리에서』を最近になって読みたいと思うようになった。そして探してみたら、幻の本になってしまっていた。しかし、私が古本屋というものに関心を持ち始めたのは最近のことで、関連する本を探し始めた頃には、すでにこのような状態だったのだ。そのような本に、『通文館 책방비화』(李兼魯著、民學會、1988)もある。だからこそ、『모든 책은 헌책이다』を見つけてすぐに購入したのだし、『古書 이야기』(박대헌著、열화당、2008)も、そういう本があることを知ってすぐに買った。ちなみに、『古書 이야기』というのはすごく面白い本だ。文章も歯切れがよくて、読みやすく、内容も魅力にあふれている。

ところで、古本屋が減らざるを得ない理由には、古本屋に対する無理解も大きい。

...우리 사회가 그만큼 헌책방 임자들을 푸대접하거나 깔보는 눈길이 참으로 깊음을 새삼스레 돌아볼 수 있습니다. (286쪽)
古本屋を見下げる傾向があるというのは、최종규氏の書いたものを読むまでは、知らなかった。職業で人を判断するのは浅ましい態度だ。まあ私たちだって、古本屋は尊敬したとしても、きつい労働に従事している人たちを小ばかにする風潮があることは、否定できないだろう。このことが理由で、後継者が得られないことも指摘している。

아마도 책장사가 참 힘들고 돈벌이 또한 힘든 일이 헌책방 일이라서 젊은 분들이 부모 일을 이어받으려 하지 않는다고 생각합니다. 더구나 헌책방 장사라는 일이 사회에서도 푸대접을 받으니 누군들 소중한 집안일로 여겨서 물러받고자 하겠어요? (322쪽)
古本屋は人々の無理解だけでなく、行政的にも無視されている。家主は賃貸料をグイグイ引き上げ、ほとんどの古本屋はそれが払えないため引越しせざるを得ない。それに対する行政的な保護はゼロ。それで、重い本の山を抱えて転々とすることになり、その結果、古本屋は客を失い、客は古本屋を失う。それは、古本屋にとっても人々にとっても、不幸なことだ。

だから、読書文化を育むためには、新刊書店・図書館・古本屋を調和させる文化政策が必要だと述べている。

극장, 채육과, 경기장, 공연장, 경마장을 짓는 일도 좋습니다. 하지만 그런 시설 못지않게 '책 문화시설'로 새책방-도서관-헌책방을 알뜰히 즐길 수 있도록 이끄는 문화 정책이 있으면 더없이 좋겠습니다. (254쪽)
古本屋が減少するもう一つの原因として、古本屋に面白い本がたくさんあることを知らない人が多いことも指摘している。

헌책방 임자가 몸이 아프거나 세상을 떠나서 문을 닫는 일도 있지만, 살뜰히 갖춘 책을 알아보는 이가 드물어서 문을 닫는 헌책방이 더 많아요. (375쪽)
古本屋は本が供給されなければ成り立たない。ところが、その本の供給自体が難しくなっている。その一つに、読んだ本や本棚にある本を処分するとき、古本屋に売ることを考えず、紙屑として処分してしまうようになったことを挙げている。

쓰레기 분리수거가 널리 퍼지며 아파트마다 헌책을 '폐휴지'로 그냥 내다버립니다. 폐휴지 모으는 수집차는 헌책을 따로 나누어 '되살림'을 하지 않고 그냥 '폐휴지'로 처리합니다. (378쪽)
それでも、このようにして廃品回収業者に渡った本を、샛장수(仲買人)が拾って古本屋に売ることで、古本の供給がかろうじて成り立っている。それで、著者は次のように主張している。

헌책방은 무엇보다도 헌책이 제대로 들어올 수 있도록 공급 길을 열어 놓는 일이 중요합니다. (322쪽)
このように、本の供給が古本屋の経営には大きな問題になっているのである。そのような大変な仕事であるから、「요즘 같은 때에도 헌책방 일손을 붙잡고 있는 분들은 좋은 말로는 "책을 좋아해서 한다"고 하고, 나쁜 말로는 "책장사 말고 할 줄 아는 게 없어서 한다"고 합니다」(264쪽)というように、古本の仕事が好きでやっているか、あるいはそれ以外にできる仕事がなくてしているというのが実情だ。

このような現状であっても、外国の古本屋街を見てうらやましく思う韓国人は多いらしい。そして、韓国にそのような文化空間がないことを恥ずかしく思っているようだ。それについても、まずあなたが韓国の古本屋を楽しむことから始めなさいと忠告して、次のように書いている。

다른나라에 있는 헌책방 마을과 헌책방거리를 부러워하는 분들 많습니다. 그와 견줘 우리 모습을 부끄러워하거나 못났다고 보는 분들도 많아요. 하지만 우리 나라 헌책방거리가 많이 뒤떨어진 까닭을 생각해 보아요. 결과만 보지 말고, 그런 결과가 나온 까닭을 살피면 좋겠어요. 더불어 다른나라의 이름난 헌책방마을이나 헌책방거리는 없지만 전국 곳곳에 있는 좋은 헌책방을 즐겨 찾을 수 있으면 좋겠어요. (252쪽)
この『모든 책은 헌책이다』は、5年前に出た本だけれど、今では入手が難しくなりつつある。まず、出版社では現在品切れだ。교보문고でも영풍문고でも品切れになっている。古本屋にも出回っていない。しかし、インターネット書店ではまだ在庫があることが分かり、알라딘で購入した。
by ijustat | 2009-12-24 23:48 | Books


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